私のWIZ




ウィザードリィとの出会い
私とウィザードリィとの出会いは、私が親戚の家に両親に連れられて行った時のことだ。4つ上の従兄弟がPC88版ウィザードリィ を見せてくれたのだ。もちろん私は全然知らなかったし、どういうものかには興味があったがこれといって印象に残るものといえば、 キーボードでスペルを打って呪文を唱えていた、チャンプサムライに出遭って嫌がっていたなどのみだった。
そして時は流れ、アスキー社より ウィザードリィT「狂王の試練場」がFCで発売された。そんなことすら知らない私は、たまたま近所の友人の家に遊びに行った時にソフト があり、そこで「あっ!これ知ってる!昔親戚の家で見たことがある!」・・・・・2度目の出会いだった。しかし今回はFCのハードを私も持ってい たのが幸いしたのか、一気に興味が湧いたのだ。すぐに自分の家に帰って親になんと言って買ってもらったかは忘れたが、とにかく数日の 内に手に入れることができたのだ。早速パッケージを見ると、真っ黒な箱に赤い字で「Wizardry」、そして光る(光沢のある)緑 の線でドラゴンが描かれているものだった。
初めて自分で見たウィザードリィT「狂王の試練場」のオープニング画面。この重々しい雰囲気からは逃れられない・・・
初めてのウィザードリィ
〜対象年齢13歳以上〜・・・この記しがアスキー社のウィザードリィのFC版ソフトの箱の裏にあった。これには驚かされた記憶がある。 ゲームを始めると真っ黒い画面に白い文字と枠・・・ものすごい圧迫感に襲われた。オープニングらしいオープニングも無く、突然始まったのだ。 説明書を見るところによると、訓練場に行きキャラクターを作成するとあった。私は普通に6人を作成した。ドワーフの戦士X3、ノームの僧侶、 ホビットの盗賊、エルフの魔法使い。初めは何もわからないので地下1階をうろうろして経験値を稼いでいた。LVが2になるのが凄く長く感じた。 そして出遭ったのがアンデッドコボルド4体。私の攻撃は全然当たらず、パーティは全滅した・・・この後の復旧作業が大変なものだった。お金が 足りない、死体を持ってこないといけない・・・なんて不便なゲームだと思った。だがそれも次第に慣れ、地下1階のマーフィーズゴーストこそ知らなかったが、 パーティは着々と強くなっていった。転職にはさすがに抵抗があったが、前衛のドワーフの戦士を一人ロードに変えた。俗に言うキーアイテムを全てとり、 地下4階のコントロールセンターまでたどり着き、非常に恐ろしかったという思い出がある。何とかレベル7ファイター達を倒し(このとき前衛の一人が ハイニンジャに首を跳ねられたのでパーティは5人)奥に進み、ブルーリボンをとった。早く帰ろうと急ぐとなぜか後衛の一人が死んでしまったのだ。 そう、死の指輪を持っていたからだった。・・・そういう具合で普通に冒険を進め、普通にクリアしたのだった。
ウィザードリィの魅力と私の美学
クリア後、暫くウィザードリィから離れ、他のゲームをやったりしていた。月日は流れ、ウィザードリィU「リルガミンの遺産」が発売!という情報が耳に入った。 私はあまり興味がなかった。当時私のことをウィザードリィ通だと勘違いしていた(元)友人が、どっかの雑誌についていたであろうUのパンフレットをもってきて 「買うんでしょ?面白そうだよね〜」と言って見せたのだ。見てみると末弥純さんのモンスター描き下ろしがあった。私はマスターニンジャの絵を見てがっかりした。 Tの頃のニンジャに比べて(個人的に)デザインの趣味が合わなかったのだ。(今になって思うとあれはあれで体勢も低く、非常に趣があるデザインだが)Tの頃の あの、躍動的な、こちらに向かって首を跳ねにやってくるというイメージとのギャップがあまりにもあったのだ。私は完全に興味を無くし、その後ウィザードリィV 「ダイヤモンドの騎士」が出ても全く気にも止めなかったのだ。
そして更に月日は流れ、新しい場所での友人が「ウィザードリィ」という言葉を口にした。私は、 その友人と早く親しくなりたかったのか「私も知ってるよ。やったことあるよ」と言ってしまったのだ。その友人も私と同じ気持ちだったのか、ターボファイル(ア スキー社から出ていたウィザードリィなどのデータをバックアップできるもの)を貸してくれたのだ。私は家に帰ってから、そのデータを見てみた。そこには、なんと、 LV200を越えるキャラが8人くらいいるではないか!しかも自分には何の意味があるのか解らなかった「人間」でプレイしているものだったのだ。どれだけショッ クを受けたのか解らない・・・自分はそのとき初めてウィザードリィの魅力に気付いたのだった。また最初からやり直し、ウィザードリィを見つめなおした。地下迷宮 の圧迫感、緊張感、恐怖感。モンスターの動き。仲間が死んだり、パーティが全滅したときの絶望感。宝箱を発見したときの期待感、罠が作動してしまったらという不 安感。仮想現実であることを忘れてしまうほど没頭したのを今でも覚えている。その後、V、X、Uの順でプレイした。
ウィザードリィV―ダイヤモンドの騎士―は、夢のWIZです。なにせ地下5階(東に16・北に7)のいずみ、「とうぞくのたんとう」「へんげのゆびわ」「わかがえりのいし」「じゅくれんのまよけ」そして何と言っても「ちからのコイン」などがあれば、作れないキャラクタはいないのですから。私のダイヤモンドの騎士、ディアナのステータスを見てください(左)!全ての呪文を唱えられ、一人でも平気で迷宮探索が可能です!ちなみに名前の由来は、ギリシア神話の戦う月の女神ダイアナからです。
私はウィザードリィの魅力に気付くとともに、他のRPGと全然違うことにも気付いた。例えば日本を代表するとか言われてる2大RPG。 オープニングがだらだらと長く、エンディングにいたっては「ふーん。ハッピーエンドだったな」とヴィジュアル的に プレイヤーに訴える始末。死んだら死んだで魔法で一発で生き返り、死んだキャラを生き返らせる場所では100%生き返る。もっとひど いことには、キャラの名前が最初から決まっていたり、主人公またはそのお供がベラベラ喋ってストーリーを半ば強制的に進めたり・・・・・・ だが勘違いしてもらっては困るのが、それらを完全に非難し、やる価値も無いと言っているのではないということだ。現に私は好んで全シ リーズをやったし、凄くお気に入りのものもあった。ただ私が言いたいのは、ウィザードリィは自由であり、現実味があり、それぞれの世 界がそれぞれの想像力の中で創られるという、他のRPGでは見られない素晴らしさがあるということなのだ。オープニングは一切無し。 説明書などに載っているチョットしたスト−リーを頼りにするだけ。仲間が死んだら僧侶の最高LVの呪文を使っても確実に生き返るとは 限らない。むしろ蘇生に失敗したら、状態が「死んでいる」から「灰」になってしまって、もう一度失敗したらゲーム上から永遠に消滅し てしまうのだ。だから仲間が死んだときの悲愴感、絶望感は計り知れない。それは死んだキャラを生き返らせる場所、カント寺院でも一緒 であり、100%生き返るという保証はどこにも無い。そして、「主人公」という概念は特に無く、強いて言えば迷宮に挑む勇者達だ。一 切喋ることは無く(X「災渦の中心」以降ではNPC(ノンプレイヤーキャラクター)と会話を少しするだけで)、自分自身で行く先を決 める。エンディングはほとんどないに等しく、これで本当に良かったのか・・・何のためにクリアしたのか・・・と考えさせられる。この 様にウィザードリィは全く別の、いや、本来のRPGの姿というべきであろうか・・・とにかく私はウィザードリィに魅了され、今日に至 るのだ。

なぜウィザードリィY「禁断の魔筆」以降についてココで取り上げないかを話そう。もうおわかりの方もいると思うが、Y以降 はガランと変わってしまっているのだ。種族も人間、エルフ、ドワーフ、ノーム、ホビットに加え、フェアリー、リザードマン、ドラコン、 フェルパー、ラウルフ、ムークの全11種類。クラスは戦士、魔法使い、僧侶、盗賊、レンジャー、アルケミスト、バード、サイオニック、 バルキリー、ビショップ、ロード、侍、モンク、忍者の全14種類。「スキル」という、特性値とは別の意味合いを持つものも増えて、より 一層バラエティに富んだ仕上がりになっている。呪文も種類が格段に増え、「ティルトウェイト」なんてものはもう存在しないのだ。モン スターは戦闘中に動くし、なんか奇声のようなものも発する。そう!想像力に完全に左右されるゲームでは無くなっているのだ!一概には 言えないが、私がそう感じたのは事実だ。だがこれもまた「嫌だ」といってるわけではない。事実、私は3回も好んでプレイしたし、キャ ラ作成に至っては、スキルは全員オール100にし、3つほどあるエンディングも全て見た。だが、「なにか」物足りない・・・。私の勝 手な、それこそ「進化」を否定した言い分だが、ウィザードリィ三部作とXがやっぱり優れていると思う。そういうわけでココではY以降の攻略、 GB版の外伝などのことは取り上げていない。私のウィザードリィに対する美学なのである。

最後に
私は過言ではなく、ウィザードリィというゲームはこれから後世に至るまでずっと残っていく偉大なるゲームだと思う。音楽の世界で言えば、 ビートルズの様に50年後、100年後でも愛され、人々に感動をもたらすのだと思う。「たかがゲームで・・・」と言う方ももちろんいると 思うし、現にゲームにしろ音楽にしろエンターテインメントの一つにすぎないことは私も承知している。しかし私はこの、ゲームという概念を 超え、直接人々に訴えかける「なにか」がウィザードリィにあると思っているのだ。ココの「WIZマニア」では様々なウィザードリィを体験 した人々より寄せられた、感想、感動、それにまつわる面白い話があるが、それは全てウィザードリィというゲームが自由だからなのだ。どん な事を思っても自由・・・それは素晴らしいし、それでいいのだと思う。私はこの文を読んでもらって本当に幸せである。一人でも多くの方に ウィザードリィの素晴らしさを知ってもらいたくて書いたのである。本当に、単純にそういう理由で。


―ふぃん!―


もどるもんっ inserted by FC2 system